乳歯が生えるのが遅いのは大丈夫?心配な親御さんへ原因と対処法を解説

文京区後楽園駅・飯田橋駅から徒歩5分の歯医者・矯正歯科「文京いわぶち歯科・矯正歯科」です。

赤ちゃんの乳歯が生えるのが遅いと感じたとき、「うちの子は大丈夫だろうか」と不安になるのは当然のことです。隣の赤ちゃんはもう生えているのに、わが子にはまだ兆候がないと、つい焦ってしまうかもしれません。この記事では、そんな親御さんの不安に寄り添いながら、乳歯の生える時期には大きな個人差があることをお伝えします。そして、もし乳歯の生えるのが遅い場合に考えられる原因、ご家庭でできること、さらには専門家である小児歯科に相談する適切なタイミングや、その際にどのような診察が行われるのかについて、分かりやすく解説していきます。

乳歯の成長に関する正しい知識を持つことで、不必要な心配を減らし、お子さんの成長を安心して見守れるよう、お手伝いできれば幸いです。

「うちの子、歯が生えるのが遅いかも…」その心配、まずは個人差を知ることから

赤ちゃんの成長は一人ひとり異なり、まるで小さな個性のかたまりのようです。身長や体重の伸び方、寝返りやお座り、ハイハイの時期、そして言葉の発達など、どれをとっても「標準」はあっても「全く同じ」ということはありません。乳歯が生える時期もまた、その成長の多様性の一つであり、非常に大きな個人差があることをまず知っておくことが大切です。

「うちの子だけ生えていないのでは」と心配になるお気持ちはよく分かりますが、一般的に生後6ヶ月で最初の歯が生え始める赤ちゃんがいる一方で、1歳を過ぎてからようやく生え始める赤ちゃんも珍しくありません。これは決して遅れているわけではなく、その子の個性的な成長のペースなのです。例えば、ご両親のどちらかの乳歯が生えるのが遅かった場合、お子さんも同様に遅くなる傾向が見られることもあります。

焦らず、お子さんのペースを見守る姿勢が何よりも大切です。まずは一般的な目安を知りつつも、「うちの子にはうちの子のペースがある」というおおらかな気持ちで受け止めることで、親御さんの心の負担も軽くなることでしょう。この個人差こそが、乳歯が生えるのが遅いと感じる最も一般的な理由であり、特別な心配がいらないケースがほとんどであることを念頭に置いてください。

赤ちゃんの歯(乳歯)はいつ生える?一般的な時期と順番の目安

赤ちゃんの乳歯が生え始める時期や、どの順番で生えてくるのかは、多くの親御さんが気になる点ではないでしょうか。お子さまの成長を理解する上で、一般的な目安を知ることは大切です。ここでは、乳歯の萌出に関する一般的な知識をご紹介します。

乳歯が生え始める時期と生えそろうまで

赤ちゃんの最初の乳歯は、生後6ヶ月から9ヶ月頃に生え始めるのが一般的です。これはあくまで平均的な時期であり、生後4ヶ月頃に生え始めるお子さまもいれば、1歳を過ぎてからようやく最初の1本が生えるお子さまもいらっしゃいます。

そして、合計20本あるすべての乳歯が生えそろうのは、だいたい2歳半から3歳頃とされています。この期間も個人差が大きく、数ヶ月程度のずれは珍しいことではありません。お子さまの成長ペースに合わせて、焦らずに見守ってあげることが大切です。

乳歯が生える順番の目安

乳歯は一般的に決まった順番で生えてくることが多いです。多くの赤ちゃんはまず「下の前歯(乳中切歯)」が2本生え、次に「上の前歯(乳中切歯)」が2本生えてきます。その後は、その隣の歯である「乳側切歯」、最初の奥歯である「第一乳臼歯」、いわゆる犬歯にあたる「乳犬歯」、そして最後に一番奥の歯である「第二乳臼歯」という順で生えてくるのが一般的です。

もちろん、この順番も目安であり、お子さんによっては多少前後することもあります。例えば、下の歯と上の歯が同時に生えてきたり、奥歯が先に生えてきたりするケースも存在します。大切なのは、一本一本の歯が健康に生えてくることですので、順番についてはあまり神経質にならなくても大丈夫です。

もうすぐ歯が生えるかも?赤ちゃんが見せるサイン

赤ちゃんに歯が生え始める前には、いくつかのサインが見られることがあります。これらのサインは「歯ぐずり」と呼ばれることもあり、保護者の方にとっては「そろそろ歯が生えてくる時期かな?」と気づくきっかけになるでしょう。

具体的なサインとしては、まず「よだれの量が増える」ことが挙げられます。また、歯ぐきがむずがゆいことから「指やおもちゃなどを頻繁に口に入れて噛む」行動が増えることもあります。加えて、不快感から「機嫌が悪くなる(ぐずる)」こともあります。

お口の中を観察すると、歯茎が少し赤く腫れていたり、白っぽく硬くなっていたりすることもあります。これは歯が歯茎を突き破って出てくる準備をしている証拠です。これらのサインが見られたら、いよいよ赤ちゃんに新しい歯が生えてくる可能性があるので、心の準備をして見守ってあげてください。

乳歯が生えるのが遅い場合に考えられる3つの主な原因

赤ちゃんの乳歯が生えるのが遅いと感じたとき、多くの場合は個人差の範囲内であることがほとんどです。しかし、まれに何らかの医学的な、あるいは生理的な原因が隠れていることもあります。ここでは、単なる個人差を超えて、乳歯の萌出が遅れる場合に考えられる主な原因を3つご紹介します。まずは「成長の個人差による乳歯萌出遅延」について、次に歯がくっついて生じる「癒合歯」、そして生まれつき歯の本数が少ない「先天性欠如」について、それぞれの特徴と赤ちゃんへの影響を詳しく解説します。

原因①:成長の個人差による「乳歯萌出遅延」

乳歯が生えるのが遅いことの最も一般的な理由は、「乳歯萌出遅延」と呼ばれる、赤ちゃんの成長の個人差によるものです。これは病気ではなく、あくまで歯が生え始めるタイミングが、他の赤ちゃんよりゆっくりであるという状態を指します。お子様の成長は一人ひとり異なるため、平均的な時期より数ヶ月遅れていても、ほとんどの場合は心配いりません。

この乳歯萌出遅延には、遺伝的な要因が関係していることがあります。ご両親のどちらか、または両方の乳歯が生え始める時期が遅かった場合、お子様も同様に遅くなる傾向が見られることがあります。また、出生時の体重が小さめだったり、早産で生まれた赤ちゃんも、乳歯の萌出が遅れるケースが多いことが知られています。

これらの場合、多くは特別な処置を必要とせず、定期的な経過観察で問題なく歯が生え揃います。保護者の方におかれましては、他の子と比べて焦る必要はなく、まずは赤ちゃんのペースを見守ることが大切です。気になることがあれば、かかりつけの小児歯科医に相談し、適切なアドバイスを受けることで安心できるでしょう。

原因②:歯がくっついて生える「癒合歯」

乳歯の萌出が遅れる原因の一つに「癒合歯(ゆうごうし)」があります。癒合歯とは、本来は別々に生えるはずの隣り合う2本の歯の芽(歯胚)が、発達の過程でくっついてしまい、1本の大きな歯として生えてくる状態を指します。この結果、見た目では歯の本数が1本少なく見え、他の歯の萌出が遅れてしまうことがあります。

癒合歯は、特に乳歯の前歯によく見られます。歯の形が通常とは異なり、溝が深いため、歯垢が溜まりやすく虫歯になりやすいという特徴もあります。また、癒合歯があることで、その部分の歯並びが乱れたり、永久歯への生え替わりに影響が出たりする可能性も考えられます。

癒合歯の診断は、歯科医院での視診やレントゲン撮影によって行われます。もしお子様の歯の形や本数に気になる点があれば、早めに小児歯科を受診して専門家による確認を受けることが大切です。適切なケアと定期的なチェックによって、将来の歯の健康を守ることができます。

原因③:生まれつき歯の本数が少ない「先天性欠如」

「先天性欠如(せんてんせいけつじょ)」とは、生まれつき特定の歯の芽(歯胚)が存在しないため、その部分の歯が生えてこない状態を指します。乳歯の先天性欠如は比較的まれなケースですが、歯が生えてこない明確な原因の一つとして考えられます。乳歯の先天性欠如がある場合、その部分の永久歯も先天性欠如となる可能性が高いため、早期の発見と対応が重要となります。

先天性欠如は、外見からは判断が難しく、歯の生え始めが遅い、または全く生えてこないといった状況から疑われます。確定診断には、レントゲン撮影が不可欠です。レントゲンを撮ることで、歯の芽の有無を直接確認することができます。乳歯の先天性欠如が判明した場合、将来的な永久歯の歯並びや咬み合わせ、発音などに影響が出る可能性があるため、定期的な歯科検診と専門医による継続的な管理が推奨されます。

もし、お子様が一定の月齢を過ぎても歯が生えてこない、あるいは他の歯が生えているにもかかわらず特定の場所だけ生えてこないといった気になる点があれば、一人で悩まずに小児歯科医に相談してください。早期に状況を把握し、適切なアドバイスを受けることが、お子様の健やかな成長に繋がります。

【気になる噂】歯の生え方と発達障害や栄養不足の関連性について

赤ちゃんの乳歯が生えるのが遅いことで、「もしかして発達障害なのでは」「栄養が足りていないのかも」と不安に思われる保護者の方もいらっしゃるかもしれません。しかし、単に乳歯の生える時期が遅いという一点だけで、発達障害や栄養不足と直接的に結びつけることはできませんので、ご安心ください。

ごく稀に、特定の遺伝性疾患や、極度の栄養障害が原因で歯の形成に影響が出るケースは存在します。しかし、このような場合は、歯の生え方以外にも、発育の遅れや体重増加不良など、他の顕著な全身症状を伴うことが一般的です。そのため、「歯が生えるのが少し遅い」というだけで、過度に心配する必要はありません。

インターネット上にはさまざまな情報がありますが、不確かな情報に惑わされず、赤ちゃんの個性としてとらえることが大切です。もし、他に気になる発達の様子や健康面での不安がある場合は、かかりつけの小児科医に相談し、専門的な見地からのアドバイスを求めることをおすすめします。

乳歯が生えるのが遅いと感じたら?受診の目安と家庭での対処法

赤ちゃんの乳歯が生えるのが遅いと感じたとき、多くの親御さんは心配になるものです。しかし、まずは落ち着いて、ご家庭でできる赤ちゃんの口の中の観察から始めましょう。そして、いつ専門家である小児歯科医に相談すべきか、その具体的な目安を知ることが大切です。このセクションでは、ご家庭で実践できる「セルフチェック」の方法と、小児歯科を受診する「適切なタイミング」について、段階的に詳しく解説していきます。

まずはセルフチェック!お口の中を観察してみよう

乳歯の生え始めが遅いと感じたときに、まずご家庭でできることは、赤ちゃんの口の中を優しく観察することです。赤ちゃんがリラックスしている時を見計らって、清潔な指やガーゼでそっと唇をめくり、歯茎の状態をチェックしてみましょう。

観察のポイントはいくつかあります。歯茎が部分的に白っぽく硬くなっていたり、少し膨らんでいたりしないでしょうか。これは歯が歯茎の下まですぐそこまで来ているサインかもしれません。また、特定の部分に赤みや腫れがないか、異常な色をしている部分がないかなども確認してみてください。しかし、無理に触ったり、傷つけたりしないように細心の注意を払い、あくまで「観察」にとどめることが大切です。普段から赤ちゃんの口の中をよく見ておくことで、わずかな変化にも気づきやすくなります。

小児歯科に相談すべきタイミングはいつ?

乳歯の生える時期には個人差が大きいとはいえ、やはり気になる場合は専門家である小児歯科医に相談することが最も確実です。一般的に、1歳半を過ぎてもまだ1本も歯が生えてこない場合は、一度小児歯科を受診することをおすすめします。また、明らかに歯茎の形や色が普通と違う、左右で歯の生え方に極端な差があるなど、保護者の方が見て気になる点があれば、月齢に関わらず早めに相談しましょう。

日本小児歯科学会では、「1歳になったら、かかりつけ歯科医を持つ」ことを推奨しています。これは、特に問題がない場合でも、赤ちゃんの成長段階に合わせた口腔ケアのアドバイスや、将来的な歯の健康のための定期的なチェックを受ける良い機会となります。乳歯の萌出時期に相談に訪れることで、専門家による客観的な診断と、今後のケアに対する具体的なアドバイスを得ることができ、親御さんの不安を軽減することにつながります。

歯科医院ではどんなことをするの?検査と治療の流れ

実際に小児歯科を受診する際には、どのような検査や対応が行われるのかを知っておくと、不安なく臨めるでしょう。まず歯科医院では、親御さんからの詳しい問診が行われます。赤ちゃんの出生時の状況やこれまでの発育、現在の気になる症状などを詳しく聞かれるので、事前にメモなどにまとめておくとスムーズです。

次に、歯科医師が直接お子さんの口の中を観察する視診を行います。必要に応じて、歯の芽(歯胚)が歯茎の中にきちんと存在しているかを確認するために、レントゲン撮影が行われることもあります。乳歯萌出遅延の場合、多くは特別な治療を必要とせず、定期的に歯が生えてくる様子を経過観察していくことになります。

もし癒合歯や先天性欠如が疑われる場合は、永久歯への影響や、将来の歯並び、噛み合わせなどについて詳しく説明を受け、今後の対応方針について相談することになります。いずれの場合も、お子さんの状況に応じた適切なアドバイスが得られますので、安心して受診してください。

歯が生えるのが遅い赤ちゃんの離乳食とお口のケア

歯が生えるのが遅い赤ちゃんでも、月齢に合わせた離乳食の進め方とお口のケアは非常に大切です。歯が生えていなくても、赤ちゃんは歯茎を使って食べ物をつぶすことができますので、月齢に応じた形態の離乳食を続けることで、噛む練習を促しましょう。例えば、歯茎で簡単につぶせるくらいの固さに調理した野菜スティックや、細かく刻んだタンパク質などを与えることが有効です。

お口のケアについては、歯が生える前から習慣づけることが重要です。授乳後や離乳食の後に、清潔なガーゼを湿らせて赤ちゃんの口の中を優しく拭うことから始めてください。そして、最初の乳歯が1本でも生えてきたら、すぐに子ども用の歯ブラシを使った歯磨きケアを開始しましょう。これにより、虫歯予防だけでなく、お口の清潔を保ち、将来の口腔衛生の習慣を身につけさせることにもつながります。

丈夫な歯はママのお腹の中から!妊娠中にできること

赤ちゃんの丈夫な歯は、実はママのお腹の中にいる時からその土台が作られ始めています。赤ちゃんの乳歯の芽(歯胚)は、妊娠初期にあたる妊娠7週頃というごく早い時期から形成が始まるため、お母さんの妊娠中の栄養状態が、生まれてくる赤ちゃんの歯の質に大きく影響する可能性があるのです。

特に、歯の主要な成分となるカルシウムやリン、そして歯の形成を助けるタンパク質、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンDなどをバランス良く摂取することが重要です。これらの栄養素が不足すると、歯のエナメル質が十分に形成されなかったり、歯の石灰化がうまくいかなくなったりするリスクがあります。お母さんの健康的な食生活は、お子さんの将来の歯の健康につながると言えるでしょう。

まとめ:赤ちゃんの歯のことで悩んだら、一人で抱えずに小児歯科へ相談を

赤ちゃんの乳歯が生える時期には大きな個人差があり、ほとんどの場合は成長のペースによるもので心配はいりません。しかし、もし1歳半を過ぎても歯が全く生えてこない、歯茎の様子が明らかに普段と違う、他の気になる症状があるといった場合には、一人で悩み続けるのではなく、小児歯科の専門医に相談することが最も大切です。

小児歯科では、赤ちゃんの状況を詳しく診察し、必要に応じてレントゲン検査などで歯の芽の状態を確認してくれます。これにより、単なる個人差なのか、それとも癒合歯や先天性欠如といった特別な対応が必要な状態なのかを正確に診断してもらうことができます。専門家のアドバイスを受けることで、保護者の方の不安が解消され、お子さんに合わせた適切なケアや今後の見通しについて具体的な情報を得られます。安心して育児を進めるためにも、気になることがあれば遠慮なく専門家を頼ってください。

少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。

 

監修者

岩渕 雅諭 | Iwabuchi Masatoshi

日本歯科大学卒業後、医療法人社団学而会 永田歯科医院勤務、医療法人社団弘進会 宮田歯科医院に勤務し、
医療法人社団ビーズメディカル いわぶち歯科開業

【所属】
日本口腔インプラント学会 専門医
日本外傷歯学会 認定医
厚生労働省認定臨床研修指導歯科医
文京区立金富小学校学校歯科医

【略歴】
日本歯科大学 卒業
医療法人社団学而会 永田歯科医院 勤務
医療法人社団弘進会 宮田歯科医院 勤務
医療法人社団 ビーズメディカルいわぶち歯科 開業

 

文京区後楽園駅・飯田橋駅から徒歩5分の歯医者
文京いわぶち歯科・矯正歯科
住所:東京都文京区後楽2丁目19−14 グローリアス3 1F
TEL:03-3813-3918

文京いわぶち歯科・矯正歯科