根管治療のメリット・デメリット|抜歯を避けて歯を残す最後の選択

文京区後楽園駅・飯田橋駅から徒歩5分の歯医者・矯正歯科「文京いわぶち歯科・矯正歯科」です。

重度の虫歯や歯の損傷に直面したとき、多くの人が「もう抜歯しかないのか」と不安を感じるかもしれません。しかし、根管治療は抜歯を回避し、ご自身の歯を長く使い続けるための重要な治療法です。この治療は、歯の内部にまで及んだ感染を取り除き、歯の保存を可能にする「最後の砦」とも呼ばれています。

この記事では、根管治療がどのような治療なのかを詳しく解説し、その具体的なメリットとデメリットを分かりやすくご紹介します。さらに、治療をせずに放置した場合のリスクや、抜歯を選択した場合との比較、そして治療期間や費用についても触れていきます。根管治療に対する不安を解消し、ご自身にとって最適な治療の選択をするための知識が得られるでしょう。

目次

根管治療とは?歯の神経を守るための「最後の砦」

根管治療は、歯の内部にある「歯髄(しずい)」と呼ばれる神経や血管が通っている組織が、細菌に感染して炎症を起こしたり壊死したりした場合に行われる治療です。歯の神経は、虫歯が深くまで進行したり、歯が割れたりすることによって細菌に侵され、強い痛みや腫れを引き起こします。このまま放置すると、感染が顎の骨にまで広がり、最終的には歯を失ってしまう可能性が高くなります。

この治療の目的は、感染した歯髄を徹底的に除去し、歯の根の内部(根管)をきれいに清掃・消毒することです。その後、無菌状態になった根管に特殊な薬剤を詰めて密閉し、細菌の再侵入を防ぎます。これにより、歯の内部から感染源を取り除き、歯の保存を可能にするのです。根管治療は、一度感染してしまった歯を抜かずに済ませるための最後の手段であり、大切なご自身の歯を残すための「最後の砦」と言えます。

この治療によって、激しい痛みから解放されるだけでなく、天然の歯の機能や見た目を維持することができます。人工の歯では得られない噛み心地や、発音のしやすさなどを保てるため、生活の質(QOL)を高く保つ上で非常に重要な治療法です。

根管治療が必要になる主な原因

根管治療が必要になる主な原因は、お口の中に潜む細菌による感染です。特に、以下のような状況で歯の内部にある歯髄が細菌に侵され、炎症や感染を引き起こします。

一つ目は、深くまで進行した虫歯です。虫歯がエナメル質や象牙質を超えて歯髄にまで到達すると、歯髄が細菌に直接感染して炎症を起こします。強い痛みを感じるだけでなく、神経が死んでしまう「歯髄壊死」に至ることもあります。二つ目は、歯の亀裂や破折です。硬いものを噛んだ時や、外傷によって歯にひびが入ったり、折れてしまったりすると、その隙間から細菌が歯髄に侵入し、感染を引き起こすことがあります。最後に、過去の治療の繰り返しによる歯髄への刺激です。何度も治療を繰り返している歯は、その都度歯に物理的な刺激が加わることで、歯髄にダメージが蓄積し、最終的に炎症を起こすことがあります。

【徹底比較】根管治療のメリットとデメリット

根管治療は、重度に進行した虫歯や歯の損傷から歯を救い、抜歯を回避するための重要な治療法です。この治療には、ご自身の歯を長く使い続けられるという大きなメリットがある一方で、治療期間の長さや費用、そして治療後に注意すべき点も存在します。ここでは、根管治療がもたらす利点と、考慮しておくべきリスクや負担について、客観的な視点から詳しく解説します。

治療を検討されている方が、それぞれの側面を公平に比較検討し、ご自身にとって後悔のない、最適な判断を下せるよう、具体的な情報を提供いたします。この情報を参考に、ぜひ前向きに治療を検討してください。

根管治療のメリット|自分の歯を残せる価値

根管治療の最大の魅力は、なんといっても抜歯を回避し、ご自身の歯を長期間にわたって維持できる点にあります。天然の歯は、人工物に比べて機能性や審美性に優れ、お口全体の健康維持にも寄与します。これから、「自分の歯で噛める機能の維持」「つらい痛みからの解放」「周囲の健康な歯への負担軽減」という3つの具体的なメリットをご紹介し、根管治療が生活の質(QOL)向上にどのように貢献するかを詳しく見ていきましょう。

抜歯を回避し、自分の歯で噛める機能を維持できる

根管治療は、感染した歯の神経や組織を取り除き、歯そのものを残す治療です。これにより、ご自身の天然歯で引き続き食事をすることが可能になります。天然歯は、人工の歯とは異なり、食べ物の食感や温度を敏感に感じ取ることができ、噛み応えも自然です。この「自分の歯で食べる」という行為は、日々の生活の質を大きく左右する大切な要素です。

また、歯を失うと発音に影響が出たり、口元の見た目が不自然になったりすることがありますが、ご自身の歯を残すことで、これらの問題を回避できます。抜歯後にブリッジや入れ歯、インプラントといった治療を選ぶこともできますが、天然歯に勝るものはありません。根管治療は、ご自身の歯が持つ本来の機能と審美性を、可能な限り維持するための最良の選択肢と言えるでしょう。

虫歯によるつらい痛みから解放される

歯髄炎によって引き起こされる激しい痛みは、日常生活に大きな支障をきたします。冷たいものや熱いものがしみる、何もしなくてもズキズキと脈打つような痛みが続く、夜間に痛みが強くなるなど、患者さんを悩ませる症状は多岐にわたります。このような痛みは、歯の内部にある神経(歯髄)が細菌感染によって炎症を起こしているサインです。

根管治療では、この感染した歯髄を徹底的に除去し、根管内をきれいに清掃・消毒することで、痛みの原因を根本から取り除きます。治療が成功すれば、それまで苦しんでいた痛みから解放され、食事や会話、睡眠など、あらゆる場面で快適さを取り戻すことができるでしょう。痛みから解放されることは、精神的なストレスの軽減にも繋がり、日々の生活の質を大きく向上させます。

周囲の健康な歯への負担を減らせる

根管治療によって問題のある歯を温存することは、隣接する健康な歯を守る上でも非常に重要なメリットとなります。もし、感染した歯を抜歯した場合、その空いたスペースを補うために、いくつかの治療法が考えられます。例えば、ブリッジを選択すると、失われた歯の両隣にある健康な歯を削って土台にする必要があり、これらの歯に負担をかけることになります。

また、部分入れ歯の場合も、残っている歯にバネをかけて固定するため、特定の歯に過度な力がかかり、負担が増してしまう可能性があります。インプラントは周囲の歯への負担が少ない治療法ですが、外科手術が必要であり、費用も高額になる傾向があります。根管治療でご自身の歯を残せれば、これらの処置が不要となり、他の健康な歯を削ったり、負担をかけたりすることなく、お口全体の健康を長期的に維持することに繋がります。

根管治療のデメリット|知っておくべきリスクと注意点

根管治療は歯を残すための効果的な方法ですが、メリットだけでなく、患者さんが事前に知っておくべきデメリットやリスクも存在します。例えば、治療後に歯が脆くなる可能性や、治療期間が長くなること、さらには残念ながら再感染のリスクもゼロではありません。これらの注意点を事前にしっかりと理解しておくことは、治療後に起こりうるトラブルを避け、治療結果に心から納得するためには不可欠です。

ここでは、根管治療を検討する上で考慮すべき主なデメリットについて詳しく解説します。メリットとデメリットの両方を理解した上で、ご自身の状況に合わせた最適な選択ができるように準備しましょう。

歯が脆くなり、割れるリスクがある

根管治療を受けた歯は、治療を受けていない健康な歯と比べて、物理的に脆くなる傾向があります。その主な理由の一つは、歯の内部にある歯髄(神経や血管)を取り除くためです。歯髄は歯に栄養を供給する役割を担っており、それがなくなることで歯が乾燥し、弾力性を失ってもろくなります。まるで、枯れた木が折れやすくなるようなイメージです。

さらに、虫歯の進行や治療の過程で、歯の大部分を削る必要がある場合も少なくありません。これにより、歯を支える構造自体が弱くなるため、硬いものを噛んだ時などに歯が破折(割れること)するリスクが高まります。このリスクを軽減するためには、根管治療後に必ずクラウン(被せ物)を装着し、歯全体を補強して保護することが一般的です。クラウンで歯を覆うことで、外部からの衝撃や噛む力による負担を分散させ、歯の寿命を延ばすことができます。

治療期間が長く、複数回の通院が必要になる

根管治療は、感染した歯の内部を慎重に扱うため、一度の来院で完了することはほとんどありません。根管内の細菌を確実に除去し、無菌状態に近づけるためには、清掃、消毒、薬剤の充填といった各ステップを非常に丁寧に行う必要があります。特に、根管の形状は人それぞれ複雑で、細かく枝分かれしていることも多いため、徹底した処置には時間を要します。

一般的に、根管治療は2回から5回程度の通院が必要となり、治療期間は数週間から数ヶ月に及ぶことも珍しくありません。忙しい日々を送る方にとっては、この複数回にわたる通院が大きな負担と感じられるかもしれません。そのため、治療を始める前に歯科医師と治療計画や通院スケジュールについてしっかり相談し、ご自身のライフスタイルに合わせた計画を立てることが大切です。

再発(再感染)の可能性がある

根管治療の成功率は高いものの、残念ながら100%ではありません。治療後に再発(再感染)する可能性も考慮しておく必要があります。再感染の主な原因としては、根管が非常に複雑な形状をしており、たとえ熟練した歯科医師が治療しても、肉眼では見えないような細かな部分に細菌が残ってしまうケースが挙げられます。また、治療後に装着した被せ物(クラウン)と歯の境目に隙間が生じ、そこから新たに細菌が侵入してしまうこともあります。

もし再感染が起こってしまった場合、再び根管治療を行う「感染根管治療」や、場合によっては外科的な処置が必要になることもあります。治療が一度で終わらず、再度時間や費用がかかるリスクがあることは正直にお伝えすべき点です。しかし、近年ではマイクロスコープなどを用いた精密根管治療によって、再感染のリスクを大幅に低減し、成功率を高める努力がなされています。

神経を抜くため新たな虫歯に気づきにくい

根管治療では、虫歯菌によって炎症を起こした歯髄(歯の神経)を取り除きます。この歯髄には、虫歯ができた際に「冷たいものがしみる」「ズキズキと痛む」といった警告信号を発し、私たちに異常を知らせる大切な役割があります。しかし、歯髄を抜いてしまうと、この感覚が失われるため、治療した歯に新たな虫歯、特に二次虫歯(被せ物の隙間や歯の根元などにできる虫歯)ができても、痛みを感じにくくなります。

自覚症状がないまま虫歯が進行すると、気づいた時にはかなり大きくなっており、最悪の場合、歯を抜かなければならない状況に陥る可能性もあります。そのため、根管治療を受けた歯は、治療前よりもさらに丁寧なセルフケアと、歯科医院での定期的な検診が非常に重要になります。自覚症状がなくても、プロの目でチェックしてもらうことで、早期に異常を発見し、対処することが可能になります。

「根管治療はしないほうがいい」と言われる理由と放置するリスク

インターネットやSNSなどを見ると、「根管治療はしないほうがいい」という意見を目にすることがあります。しかし、根管治療を必要とする歯を放置してしまうと、取り返しのつかない事態に陥る可能性が高いです。ここでは、なぜそのような意見が存在するのかを客観的に分析し、もし治療を受けなかった場合に何が起こりうるのかを具体的に解説します。感情論や不確かな情報に流されず、ご自身の歯を守るための医学的根拠に基づいた判断ができるように、ぜひ参考にしてください。

なぜ「しないほうがいい」という意見があるのか?

「根管治療はしないほうがいい」という意見が存在する背景には、いくつかの要因が考えられます。一つ目は、過去に根管治療を受けて強い痛みを感じた、あるいは治療がうまくいかなかったという個人的な体験です。特に過去の治療は、現在と比較して医療技術や設備が十分でなかったため、多くの患者さんが不快な経験をされた可能性があります。治療期間の長さや、保険診療では費用負担も決して軽くはないため、これらの点が患者さんの不安を煽ることもあります。

二つ目は、治療後に歯が脆くなる、または再発するリスクがあることへの懸念です。根管治療は成功率の高い治療ですが、100%ではありません。治療後に再び感染したり、歯が割れてしまったりするケースもあるため、こうしたデメリットが強調されることがあります。さらに、一部で「根管治療が全身疾患を引き起こす」といった科学的根拠に乏しい情報が語られることもあり、患者さんの不安を増大させている側面もあります。しかし、現代の歯科医療では、治療の精度を高めるための技術や設備が飛躍的に進歩しており、これらの課題は大きく改善されています。

根管治療をせずに放置した場合に起こりうること

根管治療が必要な状態であるにもかかわらず、その治療をせずに放置することは非常に危険です。一時的に痛みが治まったとしても、それは治癒したわけではなく、病状が静かに進行している状態であることがほとんどです。この状態を放置すると、やがては「痛みの悪化」「抜歯」「全身への影響」といった深刻な事態を招く可能性があります。ここでは、治療を先延ばしにした場合に何が起こりうるのかを具体的に見ていきましょう。

痛みの悪化や炎症が顎の骨まで広がる

根管内の細菌感染を放置すると、炎症は歯の根の先端を超えて、その周囲にある顎の骨へと広がっていきます。これにより、歯の根の先に「根尖病巣(こんせんびょうそう)」と呼ばれる膿の袋が形成されることがあります。この病巣が大きくなると、再び激しい痛みや腫れを引き起こす「急性症状」に繋がることがあります。顔が腫れ上がったり、発熱を伴ったりすることもあり、日常生活に大きな支障をきたします。

さらに、感染が進行すると、膿が歯茎を破って出てくる「瘻孔(ろうこう)」という状態になることもあります。これは炎症が周囲の組織にまで広がっているサインであり、放置すれば骨の破壊がさらに進み、最終的には歯を支えきれなくなる可能性も出てきます。このような状態になる前に、適切な根管治療を受けることが非常に大切ですいです。

最終的に抜歯しか選択肢がなくなる

根管治療をせずに感染を放置する最も深刻な結末の一つは、最終的にその歯を抜歯せざるを得なくなることです。感染が長期間にわたり進行すると、歯を支えている顎の骨が広範囲にわたって破壊されたり、歯の根自体が溶けてしまったりすることがあります。また、虫歯が非常に深くまで進行し、残っている歯の質が極端に少なくなると、いくら根管治療で感染を取り除いても、その上に機能的な被せ物(クラウン)を装着することが不可能になります。

根管治療は、あくまでご自身の歯を残すための「最後の砦」であり、歯を救うための大切な機会です。この機会を逃してしまうと、歯は取り返しのつかない状態になり、もはや根管治療では保存できず、抜歯という不可逆的な結果に至ります。一度抜歯してしまうと、天然の歯が持つ機能や感覚を取り戻すことはできませんので、できるだけ早い段階で歯科医師に相談し、適切な治療を受けることが重要です。

全身の健康に影響を及ぼす可能性

歯の根の先の感染は、単に口の中だけの問題に留まらず、全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。これを「病巣感染(ふくそうかんせん)」と呼びます。歯の根の先にいる細菌や、それらが産生する毒素が、血管を通じて全身に運ばれることで、体の離れた部位に炎症や疾患を引き起こしたり、既存の病気を悪化させたりすることが指摘されています。例えば、心臓病の一つである細菌性心内膜炎、関節リウマチ、腎炎、糖尿病の悪化などとの関連性が研究によって示されています。

このように、「歯の病気」が口の中だけの問題ではないことを理解することは非常に重要です。口腔内の細菌感染は、自覚症状がほとんどないまま慢性的に全身に影響を与え続けることがあります。そのため、全身の健康を維持するためにも、感染源となっている歯を適切に治療し、口腔内を清潔に保つことが不可欠です。早期に感染源を取り除くことは、全身の健康リスクを低減することにも繋がります。

抜歯か根管治療か?後悔しないための判断基準

重度の虫歯や歯の損傷に直面したとき、「抜歯」と「根管治療」のどちらを選択すべきか迷われる方も少なくありません。この重要な決断は、単に目の前の問題を解決するだけでなく、ご自身の口腔全体の健康や生活の質に長期的に影響を与えます。根管治療はご自身の歯を残すための「最後の砦」と称されますが、すべてのケースで最善の選択肢であるとは限りません。

治療の選択は、歯の具体的な状態、歯周組織の健康度、患者様の全身疾患の有無、そして何よりも患者様ご自身の治療に対する価値観やライフスタイルなど、多角的な要因を総合的に考慮して行うべきです。どちらか一方が絶対的に正しいということはなく、個々の状況に応じて最適な選択肢を見つけるための客観的な判断基準を持つことが、後悔のない治療へとつながります。

根管治療が推奨されるケース

根管治療は、ご自身の天然歯を最大限に保存したいと願う方にとって、非常に有効な選択肢となります。この治療が積極的に推奨されるのは、まず第一に「歯の根がしっかりしており、十分な量の健全な歯質が残っている場合」です。これは、治療後に被せ物(クラウン)を装着する際に、その土台となる歯の安定性が確保できるかどうかに直結します。

また、「歯周病が進行しておらず、歯を支える骨が健全な状態である場合」も重要な条件です。歯周病が重度に進行していると、たとえ根管治療で根管内の感染を除去できたとしても、歯を支える骨が不安定なため、長期的な歯の保存が困難になることがあります。そして、患者様ご自身が「強く自分の歯を残したい」と希望されている場合、これらの条件が満たされていれば、根管治療によって歯の機能と審美性を長期間維持できる可能性が大幅に高まります。

抜歯が選択肢になるケース

一方で、残念ながら根管治療が困難であると判断されたり、治療後の予後が不良であると予測される場合には、抜歯がより適切な選択肢となることがあります。例えば、「歯の破折(歯が割れること)が歯茎の下の深い部分にまで及んでいる場合」は、修復が非常に困難であるため抜歯が検討されます。

また、「重度の歯周病で歯がすでにグラグラに動揺している場合」や、「根管治療を繰り返しても感染が治まらず、病巣が拡大し続けている場合」も抜歯が避けられないことがあります。さらに、虫歯や過去の治療で歯質が大きく失われ、「歯を残しても機能的な被せ物を作れないほど歯が脆弱になっている場合」も、無理に歯を残すことがかえって周囲の歯や骨に悪影響を与えるリスクがあるため、抜歯が総合的にメリットの大きい選択と判断されることがあります。

抜歯後の選択肢(ブリッジ・入れ歯・インプラント)との比較

もし抜歯を選択した場合、失われた歯の機能と見た目を回復させるために、「ブリッジ」「部分入れ歯」「インプラント」という3つの主要な治療法が考えられます。これらの治療法は、それぞれにメリットとデメリットがあり、根管治療で天然歯を保存する場合と比較すると、その違いがより明確になります。

ブリッジは、失われた歯の両隣の歯を削って土台とし、連結した被せ物で補う方法です。審美性が高く比較的安定しますが、健康な歯を削る必要があり、支えとなる歯に負担がかかります。部分入れ歯は、残っている歯にバネで固定するタイプが一般的で、取り外しが可能ですが、異物感や噛む力の低下を感じることがあります。また、バネがかかる歯に負担がかかることもあります。

インプラントは、顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を装着する方法で、天然歯に近い噛み心地と審美性を実現します。周囲の歯に負担をかけない点が大きなメリットですが、外科手術が必要であり、費用も高額になる傾向があります。根管治療でご自身の歯を残すことは、これらの抜歯後の治療と比べて、周囲の歯を削る必要がなく、ご自身の歯の感覚や機能を維持できるという点で、かけがえのない価値があると言えるでしょう。

根管治療の期間・費用・流れを解説

根管治療は、重度に進行した虫歯や歯の損傷から歯を残すための重要な治療ですが、そのプロセスや費用、期間について不安を感じる方も少なくありません。このセクションでは、根管治療が実際にどのように進められるのか、どのくらいの期間と費用がかかるのかを具体的に解説します。治療の全体像を事前に把握することで、患者さんが抱える不安を軽減し、安心して治療計画を立てられるように、保険診療と自費診療の違いにも触れながら、透明性の高い情報を提供していきます。

根管治療の基本的な流れと通院回数の目安

根管治療は、感染した歯の内部を徹底的に清掃・消毒し、再び感染しないように密閉する、非常に精密な処置です。その基本的な流れは、まず初診時にレントゲン撮影などを行い、歯の状態や感染の範囲を正確に診断することから始まります。次に、局所麻酔を施し、感染した歯質や歯髄(神経)を慎重に除去します。その後、非常に細い器具を使って根管内部を清掃・拡大し、消毒薬で徹底的に無菌化していきます。

これらの清掃・消毒のステップは、根管の複雑な形状や感染度合いに応じて複数回繰り返されることが多く、根管内が無菌状態になったことを確認した後、再感染を防ぐために薬剤を詰めて根管を密閉します(根管充填)。根管充填が完了したら、歯の強度を回復させるための土台を構築し、最終的にセラミックなどの被せ物(クラウン)を装着して治療は完了です。一般的な通院回数は2〜5回程度、治療期間は数週間から数ヶ月かかることが多いですが、これは歯の状態や根管の複雑さによって大きく変動します。

費用の目安|保険診療と自費診療(精密根管治療)の違い

根管治療の費用は、保険診療と自費診療のどちらを選択するかで大きく異なります。保険診療の場合、費用は比較的安価に抑えられ、患者さんの負担は一般的に数千円から2万円程度となります。しかし、保険診療では使用できる器具や材料、治療にかけられる時間に制約があるため、複雑な症例や再発リスクの高いケースでは十分な精度を確保することが難しい場合があります。

一方、自費診療となる「精密根管治療」では、マイクロスコープや歯科用CTなどの機器を使用し、時間をかけて非常に精密な治療を行うことができます。これらの先進的な設備を使用することで、肉眼では見えない根管の細部まで確認しながら、より確実に感染源を除去し、治療の成功率を高めることが可能です。費用の目安は10万円から30万円以上と高額になりますが、自分の歯を長期間にわたって維持できる可能性が高まるため、費用と治療の質、そして長期的な予後を考慮して選択することが重要です。

根管治療の痛みと成功率に関するQ&A

根管治療は、歯の内部にまで及んだ細菌感染を除去し、歯を救うための重要な治療法です。しかし、治療の特性上、患者様からは「治療中に痛みはあるのか」「治療は成功するのか」「もし再発したらどうなるのか」といった、不安や疑問の声を多く聞きます。このセクションでは、そうした皆様が特に懸念されるポイントについて、Q&A形式で詳しく解説します。

根管治療に関する正確な情報を得ることで、治療への理解を深め、安心して治療に臨んでいただけることを目指します。不明な点や不安なことは、担当の歯科医師に遠慮なく相談してください。

Q1. 治療中に痛みはありますか?

根管治療と聞くと、「痛い」というイメージをお持ちの方も少なくありません。しかし、現在の歯科治療では、治療中の痛みを最小限に抑えるための様々な工夫がなされています。治療に際しては局所麻酔をしっかり行いますので、基本的に痛みを感じることはほとんどありません。

ただし、歯の神経が非常に強い炎症を起こしている場合など、麻酔が効きにくいこともごく稀にあります。その際は、麻酔を追加したり、炎症を鎮める処置を先に行ったりするなど、患者様の状態に合わせて適切に対応いたしますのでご安心ください。また、麻酔が切れた後に、治療した歯に一時的な鈍痛や違和感を覚えることがありますが、これは正常な治癒過程で起こりうる反応です。通常は数日でおさまりますし、必要に応じて鎮痛剤を処方いたします。

Q2. 根管治療の成功率はどのくらいですか?

根管治療の成功率は、歯の状態や治療を行う歯科医師の技術、使用する設備によって異なりますが、一般的に非常に高い水準にあります。保険診療の範囲内で行われる根管治療の場合でも、80%から90%程度の成功率が報告されています。

さらに、マイクロスコープや歯科用CTなどの精密機器を用いた自費診療の「精密根管治療」では、肉眼では見えない根管内部を詳細に確認できるため、成功率は90%以上とさらに高い傾向にあります。ここでいう「成功」とは、治療後に感染の兆候が見られず、治療した歯が問題なく機能し続けることを意味します。成功率を最大限に高めるためには、経験豊富な歯科医師による精密な診断と治療、そして患者様ご自身の丁寧なセルフケアが重要です。

Q3. もし再発してしまったらどうなりますか?

残念ながら、どんなに精度の高い根管治療を行っても、100%再発を防げるわけではありません。根管の形状が非常に複雑で細菌を完全に除去しきれなかったり、治療後の被せ物の隙間から再び細菌が侵入したりするなど、再感染のリスクはゼロではありません。もし再発が確認された場合でも、すぐに抜歯という選択になるわけではありませんのでご安心ください。

再発時には、まず「感染根管治療(再治療)」を行います。これは、以前の根管充填材を除去し、再度根管内の清掃と消毒を徹底的に行う治療です。再治療でも改善が見られない場合や、根の先に大きな病巣がある場合には、「歯根端切除術」という外科的な処置を行うこともあります。これは、歯茎を切開し、歯の根の先端にある感染部位とその周囲の骨を直接除去する方法です。これらの治療でも歯の保存が難しいと判断された場合に、最終的な選択肢として抜歯が検討されます。

安心して根管治療を受けるための歯科医院選びの3つのポイント

根管治療は、歯の内部という非常に繊細で複雑な部分を扱うため、歯科医師の技術や経験、そして設備の有無が治療の成否に大きく影響します。そのため、適切な歯科医院を選ぶことが、治療の結果だけでなく、治療中の安心感にも直結すると言えるでしょう。患者さんが何を基準に医院を選べば良いのか、後悔のない選択をするための実践的なアドバイスを3つのポイントに絞ってご紹介します。

良い歯科医院を見つけることは、根管治療を安心して受け、良好な結果を得るための第一歩となります。これらのポイントを参考に、ご自身に合った歯科医院を見つけてください。

1. 事前のカウンセリングが丁寧か

根管治療を受けるにあたり、最も重要視したいポイントの一つが、事前のカウンセリングが丁寧かどうかです。良い歯科医院では、治療に入る前に、患者さんの現在の歯の状態、なぜ根管治療が必要なのか、どのような治療法があるのか、メリット・デメリット、治療期間、費用、そして抜歯を含む他の選択肢について、時間をかけて丁寧に説明してくれます。

患者さんの疑問や不安に真摯に耳を傾け、納得がいくまで説明してくれる姿勢は、歯科医師と患者さんとの信頼関係を築く上で不可欠です。治療内容を十分に理解し、納得した上で治療に進めるよう、説明と同意(インフォームド・コンセント)を徹底しているかを確認しましょう。

2. CTやマイクロスコープなどの精密機器が導入されているか

根管治療の成功率を高めるためには、精密な診断と治療が欠かせません。そのため、歯科用CTやマイクロスコープといった先進的な精密機器を導入しているかどうかが、歯科医院を選ぶ上での重要な指標となります。歯科用CTは、従来の平面的なレントゲンでは見えにくい複雑な根管の形態や病巣の広がりを三次元的に把握することを可能にします。

また、歯科用マイクロスコープは、肉眼の何倍もの倍率で治療部位を拡大し、暗くて狭い根管内を明るく照らすことで、より精密で確実な治療を可能にします。これらの機器の有無は、歯科医院が根管治療に対してどれほどの専門性と真摯な姿勢で取り組んでいるかを測る一つの基準となり、治療の精度と成功率に大きく貢献します。

3. 複数の治療選択肢を提示し、セカンドオピニオンにも協力的か

患者さん本位の治療を提供してくれる歯科医院は、決して一つの治療法を押し付けることはありません。根管治療だけでなく、抜歯、そして抜歯後のブリッジ、入れ歯、インプラントといった選択肢まで含め、それぞれのメリット・デメリットを公平に提示し、患者さんの意向を尊重してくれることが大切です。それぞれの治療法が患者さんの口の健康全体にどう影響するかを総合的に説明してくれるでしょう。

さらに、患者さんがセカンドオピニオン、つまり他の歯科医師の意見を聞きたいと希望した場合に、快く情報提供(レントゲン写真や検査結果の提供など)に応じてくれるかどうかも、その医院の自信と誠実さを示す重要な判断基準です。患者さんの不安を解消し、最善の選択をサポートしてくれる歯科医院を選びましょう。

まとめ|自分の歯を1本でも多く残すために、まずは専門家へ相談を

根管治療は、重度に進行した虫歯や歯の損傷に対して、大切な自分の歯を救うための有効な治療法です。抜歯という選択を避けて天然歯を維持できるという大きなメリットがある一方で、歯が脆くなるリスクや治療期間の長さ、再発の可能性など、考慮すべきデメリットも存在します。しかし、これらのデメリットを理解し、適切な対策を講じることで、多くの場合、良好な結果が期待できます。根管治療は「最後の砦」として、ご自身の歯で長く快適に過ごすための価値ある選択肢と言えるでしょう。

インターネット上にはさまざまな情報があふれていますが、ご自身の歯の状態や治療の選択は非常に個人的なものです。安易に自己判断せず、まずは信頼できる歯科医師に相談し、精密な検査を受けることが何よりも重要です。現在の症状や不安な点、治療に対する希望をしっかりと伝え、メリット・デメリット、費用、期間、成功率などについて十分に説明を受け、納得した上で治療を選択してください。早期の相談と適切な治療によって、一本でも多くの歯を残し、健康な毎日を送るための一歩を踏み出しましょう。

少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。

 

監修者

岩渕 雅諭 | Iwabuchi Masatoshi

日本歯科大学卒業後、医療法人社団学而会 永田歯科医院勤務、医療法人社団弘進会 宮田歯科医院に勤務し、
医療法人社団ビーズメディカル いわぶち歯科開業

【所属】
日本口腔インプラント学会 専門医
日本外傷歯学会 認定医
厚生労働省認定臨床研修指導歯科医
文京区立金富小学校学校歯科医

【略歴】
日本歯科大学 卒業
医療法人社団学而会 永田歯科医院 勤務
医療法人社団弘進会 宮田歯科医院 勤務
医療法人社団 ビーズメディカルいわぶち歯科 開業

 

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