マウスピース矯正は何ヶ月で終わる?平均期間と症例別の目安を解説

文京区後楽園駅・飯田橋駅から徒歩5分の歯医者・矯正歯科「文京いわぶち歯科・矯正歯科」です。
マウスピース矯正は、目立ちにくく、ご自身で取り外しができるため、多忙な現代人に選ばれている人気の矯正治療です。しかし、「実際にどのくらいの期間で理想の歯並びになるのだろう」と、治療期間に関する疑問や不安をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。
マウスピース矯正の治療期間は、歯並び全体を整える「全体矯正」か、気になる部分だけを動かす「部分矯正」かによって大きく異なります。また、もともとの歯並びの状態や、治療への協力度合いによっても期間は変動するため、「結婚式までに間に合わせたい」「仕事に影響なく治療を終えたい」といった具体的なライフイベントを控えている方は、特に期間の目安が気になることと思います。
この記事では、マウスピース矯正の平均的な治療期間から、歯並びの症例ごとの期間の目安、そして治療期間が長引いてしまう原因と、スムーズに治療を進めるためのポイントを詳しく解説します。この記事を読めば、ご自身の治療期間の目安を把握し、計画通りに理想の歯並びを手に入れるためのヒントが見つかるはずです。
マウスピース矯正の平均的な治療期間は?
マウスピース矯正は、透明な装置で歯並びを整える治療法ですが、治療期間は患者様の歯並びの状態や治療の目標によって大きく異なります。具体的には、歯列全体を動かす「全体矯正」と、気になる部分だけを整える「部分矯正」のどちらを選ぶかによって、期間の目安が変わってきます。
ご自身の歯並びのお悩みに対して、どちらのアプローチが適しているのかを理解することは、治療計画を立てる上で非常に重要です。ここからは、それぞれの矯正方法の目的と、それに伴う治療期間の目安について詳しく見ていきましょう。
全体矯正:歯並び全体を整える場合は1年~2年半が目安
マウスピース矯正における全体矯正は、奥歯のかみ合わせを含め、歯列全体のバランスを根本から改善することを目的としています。この治療法を選択した場合、一般的に治療期間の目安は1年~2年半程度とされています。
全体矯正の対象となる症例としては、上顎が前に出ている「出っ歯(上顎前突)」、下顎が前に出ている「受け口(下顎前突)」、歯がデコボコに生えている「叢生(そうせい)」、歯と歯の間に隙間がある「すきっ歯(空隙歯列)」、そして奥歯のかみ合わせが深く下顎の歯が見えにくい「過蓋咬合(かがいこうごう)」などが挙げられます。これらの症例では、多くの歯を大きく動かす必要があるため、部分矯正と比較して治療期間が長くなる傾向があります。
また、重度の症例では、歯を並べるためのスペースを確保するために抜歯が必要になるケースもあります。抜歯を伴う場合は、その分の歯の移動距離が長くなるため、さらに治療期間が延長することも考慮に入れておく必要があります。
部分矯正:気になる部分だけなら数ヶ月~1年が目安
部分矯正は、前歯の隙間や軽度のガタつきなど、特に見た目が気になる特定の範囲だけを限定的に整えることを目的とした治療法です。全体矯正と比較して動かす歯の数が少なく、移動距離も短いため、治療期間は数ヶ月~1年程度と比較的短期間で完了するケースが多いです。
この治療法は、過去に矯正治療を受けたものの、時間の経過とともに歯並びが少し後戻りしてしまった方や、結婚式や就職活動など、特定のライフイベントに向けて短期間で人目につく部分だけをきれいにしたいと考えている方に特に向いています。また、全体的なかみ合わせには大きな問題がないものの、前歯のちょっとしたずれが気になるという場合にも選択肢となります。
部分矯正の最大のメリットは、治療期間が短いことに加えて、費用も全体矯正より抑えられる傾向がある点です。ただし、奥歯のかみ合わせに問題がある場合や、歯を大きく移動させる必要がある重度の症例には適用できないことがあります。
治療後に必須!後戻りを防ぐ「保定期間」とは
マウスピース矯正によって理想の歯並びを手に入れた後も、実はまだ治療は終わりではありません。矯正によって動かした歯は、元の位置に戻ろうとする「後戻り」という現象が起きやすい性質を持っているため、それを防ぐための「保定期間」が非常に重要になります。
保定期間中は、「リテーナー」と呼ばれる保定装置を装着します。このリテーナーは、せっかく整えた歯並びを安定させ、骨が固まるのを待つための大切な役割を担います。保定期間の目安は、一般的に矯正治療にかかった期間と同程度、つまり1~2年程度と言われています。最初の1年間は食事と歯磨き以外の時間は終日装着し、その後は夜間のみの装着へと移行していくのが一般的です。
この保定期間を怠ってしまうと、時間と費用をかけて手に入れた美しい歯並びが元に戻ってしまう可能性があります。そのため、保定期間も治療計画の重要な一部として認識し、歯科医師の指示に従ってリテーナーをきちんと装着することが、理想の歯並びを長く維持するためには不可欠です。
【症例別】あなたの歯並びはどれくらい?マウスピース矯正の期間の目安
マウスピース矯正の期間は、お口の状態によって大きく異なります。ここでは、歯並びの乱れの程度に応じて、軽度、中度、重度の3段階に分け、それぞれの治療期間の目安をご紹介します。ご自身の歯並びがどのケースに当てはまるかイメージしながら読み進めてみてください。
ただし、ここでご紹介する期間はあくまで一般的な目安です。正確な治療期間は、歯科医師による精密検査と診断を受けて初めて確定します。自己判断ではなく、必ず専門家にご相談ください。
軽度の症例:約3ヶ月~1年(すきっ歯・軽度のガタつきなど)
軽度の歯並びの乱れであれば、マウスピース矯正の治療期間は比較的短く、約3ヶ月から1年程度が目安となります。この場合、部分矯正が適用されるケースが多く、前歯のすきっ歯(空隙歯列)や、少しだけ歯が重なっている軽度のガタつき(叢生)、または少し捻転している歯などが主な対象です。
これらの症例では、動かす歯の数が少なく、歯の移動量も限定的であるため、短期間での治療完了が期待できます。前歯の見た目を少しだけ改善したい方や、以前矯正治療を受けたが少し後戻りしてしまった方などにも適しています。
中度の症例:約1年~2年(出っ歯・八重歯など)
中程度の歯並びの乱れの場合、マウスピース矯正の治療期間は約1年から2年程度が目安です。このレベルの症例では、奥歯のかみ合わせを含めた歯列全体の調整が必要となるため、全体矯正が適用されることが多くなります。
具体的な症例としては、比較的軽度な出っ歯(上顎前突)や、犬歯が前方に突き出している八重歯、奥歯を噛み締めても前歯が閉じない開咬(オープンバイト)などが挙げられます。軽度の症例に比べて、より多くの歯を長い距離動かす必要があるため、治療期間もそれに伴い長くなります。
重度の症例:約2年以上(抜歯が必要な場合など)
重度の歯並びの乱れは、マウスピース矯正で約2年以上、場合によっては3年近くの治療期間が必要となることがあります。この種の症例では、歯を並べるためのスペースが大幅に不足していることが多く、抜歯を伴うことが一般的です。抜歯によって確保されたスペースに歯を動かす必要があるため、治療期間が長期化する傾向にあります。
対象となる症例には、非常に重度な出っ歯や受け口(下顎前突)、歯並びのガタつきが著しい重度の叢生などがあります。また、非常に難しい症例の場合、マウスピース矯正単独での治療が困難と判断され、ワイヤー矯正との併用(ハイブリッド矯正)が提案されることもあります。
要注意!マウスピース矯正の期間が長引く5つの原因
マウスピース矯正は、目立ちにくく取り外しができるというメリットがある一方で、患者さんご自身の自己管理が非常に重要となる治療法です。治療計画を立てていても、いくつかの要因によって、予定していた期間よりも治療が長引いてしまうことがあります。これからご紹介する5つの原因は、どれも患者さんの注意や行動次第で避けられる可能性があります。ご自身の治療を計画通りに成功させるために、ぜひ知っておきたい知識として読み進めてみてください。
原因1:マウスピースの装着時間が不足している
マウスピース矯正の治療期間が長引く最も一般的な原因は、マウスピースの装着時間が不足していることです。マウスピースは、1日20~22時間以上の装着が推奨されています。食事や歯磨きの時間以外は、ほとんど常に装着している必要があるのです。
装着時間が推奨よりも短いと、歯は計画通りに動きません。その結果、次のステップのマウスピースに交換しても歯にしっかりと適合せず、マウスピースが浮いてしまったり、交換自体ができなかったりします。このような場合、作り直し(リファインメント)が必要になったり、一つ前のマウスピースに戻って再調整したりすることになり、結果として治療期間が大幅に延長してしまうことにつながります。
原因2:自己判断でマウスピースの交換時期を変えている
早く治療を終えたいという気持ちから、自己判断でマウスピースの交換時期を早めてしまう方もいらっしゃいますが、これは非常に危険です。歯や歯根に過度な負担がかかり、強い痛みが生じたり、最悪の場合、歯根吸収などの深刻な問題を引き起こすリスクがあります。歯科医師が設定した交換スケジュールは、歯の健康を守りながら安全かつ効率的に歯を動かすために計算されたものです。
逆に、装着感が悪いからといって交換時期を遅らせることも、治療計画全体の遅延につながります。必ず歯科医師の指示に従い、指定された交換スケジュールを守ることが、安全に治療を成功させるための重要なポイントです。
原因3:マウスピースを紛失・破損してしまった
マウスピースは薄いプラスチック製でできているため、食事の際に外す際に置き忘れて紛失してしまったり、誤った取り扱いで破損してしまったりするリスクがあります。もしマウスピースを紛失・破損してしまった場合、新しいマウスピースが届くまでの間、治療が一時的に中断してしまいます。
この中断期間中に歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」を防ぐため、一つ前のマウスピースを装着し直す必要があることもあります。新しいマウスピースの再製作には時間と追加費用がかかる場合もあり、結果として治療期間の延長と余計な出費につながるため、マウスピースの管理は非常に大切ですいです。
原因4:治療中に虫歯や歯周病ができてしまった
マウスピースを装着している間は、歯とマウスピースの間に唾液が循環しにくくなるため、唾液による自浄作用が働きにくくなります。これにより、虫歯や歯周病のリスクが高まることがあります。もし治療中に虫歯や歯周病が発見された場合、矯正治療を一時中断し、これらの口腔トラブルの治療を優先しなければなりません。
虫歯治療で歯の形が変わってしまうと、これまで使用していたマウスピースが適合しなくなり、再度歯型を採り直して新しいマウスピースを作り直す必要が生じることもあります。このような事態を避けるためにも、治療中の丁寧な口腔ケアは、矯正期間の遵守に直結する重要な要素です。
原因5:予定通りに通院できない
マウスピース矯正はワイヤー矯正に比べて通院頻度が少ない点がメリットの一つですが、それでも定期的な通院は治療を計画通りに進める上で不可欠です。通院時には、歯が計画通りに動いているかどうかの確認や、必要に応じて歯のクリーニング、歯の表面をわずかに削る処置(IPR)などが行われます。
予約をキャンセルしたり、通院を先延ばしにしたりすると、これらの重要なチェックや処置が遅れてしまいます。その結果、小さな問題が大きくなってしまったり、次のステップへ進むタイミングを逃してしまったりして、全体の治療期間が延長する原因となります。定期的な通院は、治療の進捗を管理し、トラブルを未然に防ぐために非常に大切です。
計画通りに終わらせる!マウスピース矯正をスムーズに進めるためのポイント
マウスピース矯正は、目立たないため人気の高い矯正治療ですが、治療期間が計画通りに進まないことも少なくありません。前のセクションでは治療期間が長引く原因についてご紹介しましたが、ここではご自身の治療を計画通りに、そして効率的に進めるための具体的なポイントを解説します。歯科医師による治療計画はもちろん重要ですが、最終的に治療を成功させるためには、患者さまご自身の協力が不可欠です。これからご紹介するポイントを実践していただくことで、治療期間の延長を防ぎ、理想の歯並びをよりスムーズに手に入れることができます。ぜひ参考にして、美しい歯並びを目指しましょう。
1日20時間以上の装着時間を守る
マウスピース矯正を成功させる上で、最も重要で基本的なポイントは「1日20時間以上の装着時間を守る」ことです。この20時間以上という基準は、歯を計画通りに動かすために必要な最低限の時間とされています。食事と歯磨きの時間以外は、基本的に常にマウスピースを装着しておく必要があります。
装着時間が短いと、歯に十分な矯正力がかからず、歯の動きが停滞してしまいます。その結果、次のステップのマウスピースが歯に適合しなくなり、計画の遅延や、場合によっては再治療が必要になることもあります。たとえば、友人との長時間の会食や、会議中の飲み物など、ついマウスピースを外したくなるシチュエーションは多くあります。しかし、そういった時でもルールを守り、外す時間をあらかじめ決めておくなどの工夫をすることで、装着時間を確保しやすくなります。この日々の積み重ねが、治療期間の遵守に直結します。
マウスピースと口腔内のケアを徹底する
マウスピース矯正中に治療を中断せざるを得なくなる原因の一つに、虫歯や歯周病の発症があります。これらを防ぎ、治療期間を遵守するためには、口腔内の衛生管理とマウスピース自体のケアを徹底することが非常に重要です。
マウスピースを装着していると、唾液による自浄作用が働きにくくなり、虫歯菌や歯周病菌が増殖しやすい環境になります。そのため、食事の後や甘いものを飲んだ後は、必ず丁寧に歯磨きをしてからマウスピースを再装着してください。歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを併用することで、より効果的にプラークを除去できます。また、マウスピース自体も毎日専用の洗浄剤や柔らかい歯ブラシを使って洗い、清潔に保つことが大切です。清潔な口腔環境と清潔なマウスピースを維持することで、快適な治療期間を過ごし、計画通りに美しい歯並びへと近づけることができます。
歯科医師の指示通りに通院・交換を行う
マウスピース矯正は比較的通院頻度が少ない治療法ですが、歯科医師の指示に従い、定期的な通院とマウスピースの交換スケジュールを守ることが、治療を計画通りに進める上で不可欠です。
自己判断でマウスピースの交換サイクルを早めたり遅らせたりすることは避けてください。交換を早めると、歯や歯根に過度な負担がかかり、痛みや歯根吸収のリスクを引き起こす可能性があります。逆に、交換を遅らせると、歯の動きが停滞し、治療計画全体が遅延してしまいます。また、定期的な通院では、歯科医師が歯の動きの確認や口腔内の状態チェック、必要な処置(IPRと呼ばれる歯をわずかに削る処置など)を行います。これらのステップが滞ると、治療の進捗に影響が出てしまいます。歯科医師は、個々の症例や歯の動きに合わせて最適な治療計画を立てていますので、その指示を忠実に守ることが、最も安全で効率的に理想の歯並びへと導く道筋となります。
「チューイー」を正しく使用して密着度を高める
マウスピース矯正の効果を最大限に引き出すために、「チューイー」という補助装置を正しく使用することが重要です。チューイーとは、シリコン製の弾力があるチューブ状の道具で、マウスピースが歯にしっかりとフィットするように密着度を高める目的で使用します。
マウスピースが歯にきちんと密着していないと、計画通りの矯正力が歯にかからず、歯の動きが遅れたり、期待する効果が得られなかったりすることがあります。特に新しいマウスピースに交換した最初の数日間は、歯とマウスピースの間にわずかな隙間が生じやすいため、チューイーを全体的に数分間噛み込むことで密着度を高めます。これにより、歯の移動を促進し、治療計画通りに歯が動く手助けとなります。チューイーは、矯正治療をスムーズに進めるための大切なツールですので、歯科医師の指示に従って積極的に使用しましょう。
治療を早めるためのオプションを相談する
もし可能であれば、治療期間を短縮したいと考える方は少なくありません。マウスピース矯正には、歯の移動を促進することで治療期間の短縮につながる可能性のあるオプションも存在します。
例えば、光や振動を利用して歯の周辺組織の代謝を活性化させ、歯の動きを助ける「矯正加速装置」などが挙げられます。しかし、これらのオプションは追加費用がかかることが多く、また、全ての症例で確実に効果が得られるわけではありません。さらに、科学的根拠がまだ十分に確立されていないものもあります。もし期間短縮に興味がある場合は、自己判断せずに、まずは担当の歯科医師に相談してみることをお勧めします。ご自身の歯並びの状態や治療計画、予算などを考慮した上で、最も適した選択肢について専門家からアドバイスをもらいましょう。
ワイヤー矯正とどっちが早い?治療期間の違いを比較
マウスピース矯正をご検討されている方の中には、「ワイヤー矯正と比べてどちらが早く終わるのだろうか」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。結論から申し上げますと、一概に「どちらの方が早い」と断言することはできません。なぜなら、歯並びの状態や目指すゴール、それぞれの矯正装置が得意とする歯の動きが異なるため、症例によって最適な治療法とそれに伴う期間が変わってくるからです。
このセクションでは、マウスピース矯正とワイヤー矯正それぞれの特性を踏まえ、どのような場合にどちらの治療法が期間的に有利になるのかを詳しく解説します。ご自身の歯並びに合った治療法を選択するためにも、それぞれの特徴を理解することが重要です。
得意な歯の動きが異なるため、症例によって最適な方法は変わる
マウスピース矯正とワイヤー矯正は、歯を動かす仕組みが根本的に異なります。ワイヤー矯正は、ブラケットと呼ばれる装置を歯の表面(または裏面)に固定し、そこにワイヤーを通して引っ張る力を利用して歯を動かします。この方法の大きな特徴は、歯を垂直に動かす「挺出(ていしゅつ)」や「圧下(あっか)」、そして歯の根元から大きく動かすような複雑な歯体移動を得意とすることです。
一方、マウスピース矯正は、透明なマウスピースを段階的に交換しながら、少しずつ歯を動かしていきます。マウスピース矯正は、歯列全体を奥に動かしたり、歯を傾斜させながら移動させたりする動きに優れています。そのため、抜歯を伴うような大きく歯を移動させる必要のある重度の症例では、ワイヤー矯正の方が効率的で治療期間が短くなる傾向があります。しかし、非抜歯で対応できる症例や、軽度から中程度の歯列の乱れであれば、マウスピース矯正でもワイヤー矯正と遜色ない期間で、あるいは症例によってはより短い期間で治療を終えられる場合もあります。
ワイヤー矯正との併用で期間を短縮できるケースも
マウスピース矯正とワイヤー矯正のそれぞれのメリットを活かし、より効率的に治療を進める方法として「ハイブリッド矯正」や「コンビネーション矯正」と呼ばれる治療法があります。これは、複数の矯正装置を組み合わせて使用するもので、治療期間の短縮や審美性の向上を目的として選択されることがあります。
例えば、治療の初期段階で歯を大きく動かす必要がある場合に、ワイヤー矯正(特に目立ちにくい裏側矯正)を用いて短期間で主要な歯の移動を促します。その後、歯並びがある程度整い、微調整の段階に入ってからマウスピース矯正に切り替えるといった方法です。これにより、ワイヤー矯正でダイナミックな歯の動きを実現しつつ、後期の目立ちやすい時期はマウスピース矯正で審美性を保つことができます。
このように、患者さんの歯並びの状態やライフスタイル、治療に求める優先順位(期間、見た目、費用など)に応じて、歯科医師が最適な組み合わせを提案することもあります。それぞれの治療法の良い点を組み合わせることで、効率的かつ快適に理想の歯並びを目指せる可能性がありますので、興味がある場合は担当の歯科医師に相談してみましょう。
マウスピース矯正の期間に関するよくある質問
マウスピース矯正の治療期間や進め方について、疑問や不安を抱えている方は少なくありません。ここでは、治療を検討している方が特に気になる費用や期間、さらには治療中に起こりがちな問題への対処法など、よくある質問にお答えします。これらの情報が、マウスピース矯正への理解を深め、安心して治療を始めるための一助となれば幸いです。
Q. 期間が延びたら追加費用はかかりますか?
治療期間が延長した場合の追加費用は、契約するクリニックの料金体系によって異なります。主に「トータルフィー制度(総額固定制)」と「処置料別払い制度」の2種類があります。
トータルフィー制度は、最初に提示された総額の中に、矯正装置代、調整料、保定装置代などが含まれているため、一般的な範囲内での期間延長やマウスピースの再製作に追加費用が発生しないことが多いです。しかし、その「一般的な範囲」がどこまでなのか、具体的な条件や回数は契約前にしっかりと確認しておくことが大切です。
一方、処置料別払い制度は、矯正装置代とは別に、通院ごとの調整料やマウスピースの追加製作ごとに費用が発生します。この場合、治療期間が延びれば延びるほど、その分だけ費用が増えてしまうことになります。ご自身のライフスタイルや予算に合った料金体系を選ぶためにも、事前に複数のクリニックで相談し、見積内容を比較検討することをおすすめします。
Q. 結婚式や就活など、目標の期日までに終わらせることはできますか?
結婚式や就職活動など、特定の期日までに歯並びを整えたいというご要望は多く、可能かどうかは、現在の歯並びの状態と残された期間によって大きく異なります。
まずは、できるだけ早く歯科医院で専門家にご相談いただくことが不可欠です。カウンセリングの際に目標期日を具体的に伝えることで、歯科医師がその期日から逆算して、実現可能な治療計画を提案してくれます。例えば、全体的な矯正ではなく、気になる前歯だけを対象とした部分矯正に切り替える、あるいはワイヤー矯正とマウスピース矯正を組み合わせるハイブリッド矯正を検討するなど、期間短縮につながる選択肢が提示される場合もあります。
また、万が一目標期日までに完璧な治療完了が難しい場合でも、イベント当日に一時的にマウスピースを外す、目立ちにくい装置を選択するなど、歯科医師と相談して最善の対応策を講じることも可能です。後悔のない選択をするためにも、まずは専門家との対話から始めることを強くおすすめします。
Q. 子どもと大人で治療期間に違いはありますか?
子どもと大人では、マウスピース矯正の治療期間に対する考え方やアプローチに違いがあります。主な違いは、子どもの場合は顎の成長を利用できる点です。
子どもの矯正治療(特にI期治療と呼ばれる5〜8歳頃の早期治療)では、顎の成長を正しい方向に誘導することで、将来的な歯並びの問題を未然に防いだり、本格的な矯正(II期治療)が必要になった場合の期間を短縮したりする目的があります。このため、子どもの場合は、成長段階に合わせて治療を2段階に分けて行うことがあり、トータルで見ると治療期間が長く感じられることもありますが、これは歯並びの土台作りを行う重要なステップです。
一方、大人の場合は顎の成長が完了しているため、歯そのものを動かして歯並びを整えていきます。そのため、歯の移動の仕組みは基本的に同じですが、歯周組織の状態や骨の硬さなどが影響し、治療期間の予測は個々の状態に大きく左右されます。子どもの矯正と大人の矯正では、目的とアプローチが異なるため、単純な期間の比較は難しいといえます。
Q. 途中でやめたくなったらどうなりますか?
マウスピース矯正を途中でやめたくなった場合、自己判断で中断することは避けるべきです。治療を中断すると、これまで動かしてきた歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」が起きてしまい、場合によっては治療を開始する前よりも不安定な噛み合わせになる可能性があります。これまでの時間や費用が無駄になるだけでなく、中途半端な歯の移動は、長期的に見て歯の健康に悪影響を及ぼすリスクも考えられます。
もし治療の継続が困難だと感じたり、不安や疑問が生じたりした場合は、まずは担当の歯科医師にその理由を正直に相談することが重要です。歯科医師は、あなたの状況に合わせて、治療計画の見直しや、一時的な中断、あるいは治療を完遂するための解決策などを一緒に考えてくれるでしょう。決して一人で抱え込まず、専門家に相談して最善の方法を見つけるようにしてください。
まとめ:あなたの理想の歯並びへの最短ルートは、まず専門家への相談から
ここまで、マウスピース矯正の治療期間について、平均的な目安や症例別の期間、そして治療が長引いてしまう原因と、スムーズに進めるためのポイントを詳しく解説してきました。
マウスピース矯正は、目立ちにくく、取り外しができるため、多くの人にとって魅力的な治療法です。しかし、治療期間は軽度の症例で数ヶ月から、重度の症例や抜歯を伴う場合は2年以上かかることもあり、その方の歯並びや骨格、ライフスタイルによって大きく異なります。
この記事でご紹介した期間はあくまで一般的な目安であり、ご自身の歯並びの場合、どれくらいの期間で矯正が完了するのかという具体的な疑問に対しては、歯科医師による精密な検査と診断が不可欠です。結婚式や就職活動など、特定のイベントに向けて矯正を検討されている方もいらっしゃると思いますが、まずは早めに歯科医院へ足を運び、専門家にご相談いただくことが、あなたの理想の歯並びへの最短ルートとなります。多くのクリニックでは無料カウンセリングを実施していますので、ぜひ積極的に活用して、自分に合った治療計画を見つけてください。
少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
監修者
日本歯科大学卒業後、医療法人社団学而会 永田歯科医院勤務、医療法人社団弘進会 宮田歯科医院に勤務し、
医療法人社団ビーズメディカル いわぶち歯科開業
【所属】
・日本口腔インプラント学会 専門医
・日本外傷歯学会 認定医
・厚生労働省認定臨床研修指導歯科医
・文京区立金富小学校学校歯科医
【略歴】
・日本歯科大学 卒業
・医療法人社団学而会 永田歯科医院 勤務
・医療法人社団弘進会 宮田歯科医院 勤務
・医療法人社団 ビーズメディカルいわぶち歯科 開業
文京区後楽園駅・飯田橋駅から徒歩5分の歯医者
『文京いわぶち歯科・矯正歯科』
住所:東京都文京区後楽2丁目19−14 グローリアス3 1F
TEL:03-3813-3918




















